Tailor Cとお客様

Tailor Cとお客様


·前スレのシール交換ネタとプロフィールネタを

·オリキャラとメルニキの唯の日常みたいな会話です

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「リビア、パパとお話するからちょっとここで待っててね」

 お洋服はお店のだから触らないように。そう注意されて元気よく返事をしたリビアは初めてくるお店にワクワクしながら展示された服の間を通り抜けていく。

 母親が子供の頃から世話になっているという仕立て屋さんに今度から二人の服も作って貰おうとなりリビアはもう7歳だから!言う事聞きます!と、留守番を断固拒否して着いてきたが高そうな服と布がズラリと並ぶ店内に目を輝かせる。可愛い猫の編み込まれた布やティーカップをモチーフにした綺麗なドレス。

「お姫様の服だ」

 宝石も使われていない服が光っているような錯覚に陥っていると突然後から声をかけられる。

「それ良いよね。私も好き」

 ひゃっ⋯⋯と小さく声をあげて振り返るとさっき挨拶をした仕立て屋の男が立っていた。

 強面で傷のある大男に父親の後ろに隠れておずおずと一番お気に入りのフリルが沢山使われたドレススカートの裾を摘んで前に読んだお姫様の挨拶したが大抵の大人は笑顔で返してくれるのに無表情で返された

「はじめまして」

 という言葉に母親はただ単に顔が変わらないだけで優しい人よ、と手土産を渡しながらこっそりフォローするくらいにはリビアは怯えていた。

「マ、ママとパパはあっちです」

「知ってるよ今ちょっと夫婦でどのスーツの型にするか迷ってるらしくてね。結婚式となると皆なぜか時間かかるから。決まるまで待ってるの」

 理解したのを伝えるように頷くと突然男が膝をついて心臓が飛び上がりそうになる。

「袖の釦」

「えっ、あ」

 どうやらはしゃいで見て回っている時に何処かに引っ掛けていたらしく糸が飛び出して釦が外れかけている。

「あ、どう、どうしよ」

「すぐ直るよ」

 泣きそうになって言われた言葉にキョトンとする。

「⋯⋯お金ないよ」

「1mも使わない糸にお金なんて取らないよ面倒くさい」

 おいで、と言われて着いていくと客用の椅子を出されてよじ登る。おそらく男の身長に合わせて作られた椅子なのだろうがリビアには高くて少し手間取っているとヒョイと抱えて座らされる。

「それじゃ脱いで」

「い、いや!」

「じゃあ着たままね」

 胸ポケットから出した箱から小さな糸切り鋏で糸を切って釦を取り同じ色と素材の糸を素早く取り出すと本当に瞬きする間もなくボタン付けされて感嘆の声があがる。

「すごい!まほう?!」

「そう。初級編ね」

 パチンと切られたらもう糸は服と馴染んで他の釦と見分けがつかなくなる。

「はい。大人しくしてたからご褒美のシール」

 ぱっと視線を上げればキャメルの手の平にはドーナツにトッピング代わりのラメが光る可愛いイラストが描かれたシールが置かれていた。

「わ。わ!ありがとう!⋯ございます!」

「子供はシールあげればなんとかなるって憧れの人のアドバイスでね」

 そんな言葉は聞き流されて取り出されたノートを不思議そうに覗き込む。

「なにそれ」

「シール帳、です」

 一番新しいページに貰ったシールを貼ると前のページに戻る。

「シール交換!何かあげます!」

「しーるこうかん?」

 聞き馴染みのない言葉に首を傾げつつどうやら代わりに何かくれるらしいと理解してページを見るとフェルトでできたカモメシールに海の戦士のキャラシールにプニプニした水の入ったものとやたらと種類が多い。シール1つにこんなに拘るものかと思いながら適当に指差す。

「じゃあこれ」

「あっこれは駄目」

「そうなの」

「ママがくれたの」

 ワニに綺麗な蝶がとまっている少し古ぼけたシールをなぞるのを見て男が頷く。

「なるほどじゃあ駄目だね。死んでも守りなさい」

「う、うん!」

 これあげるね。と渡されたショートケーキのシールをさっき糸と針を出した箱に躊躇いなく貼ってくれた男に紙を差し出す。

「これも書いてください!」

「⋯⋯プロフィールちょう」

「仲良くなった子に書いてもらってるの」

「子供って色々あるなあ」

 サラサラと綴られる文字を見ながら足をぶらぶらさせる。

「これなんて読むの」

「それは神斬⋯あッしまった名前は出さない様に言われてるんだ。弟ね」

「弟いるの」

「とっても可愛いよ」

 横に書かれたシンプルな線で描かれた目と口と、よく分からない横線が引かれる。

 そんなやりとりを続けてしばらく。別室から紙に書かれたのと同じ名前が呼ばれる。どうやら両親の話し合いが終わったらしい。

「どうぞ」

「ありがとう!パパのお洋服カッコいいのにしてね!私のはお姫様みたいの!」

「承知しました」

 椅子からさっきと同じように下ろし丁寧に服を整えられてリビアは満足そうに渡された、おそらく人によっては喉から手が出るほど欲しがるプロフィールを小さなバインダーに加えるとキャメルの後をついて行った。

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